研究概要 |
唾液腺幹細胞の機能的分化に関して調べるため、唾液腺幹細胞とこの細胞よりさらに未分化であり倫理的問題のないiPS細胞を用いることとした。ips細胞を京都大学から購入し、京都大学の山中らの方法に従って培養を行った。一方マウスから唾液腺を摘出し、細断した後コラゲナーゼとディスパーゼで処理を行い、細胞を分離、培養しマウス唾液腺細胞を得た。この中からCD49 f 陽性細胞を分離、培養し唾液腺幹細胞を得た。iPS細胞を上皮系細胞に分化させるため2008年Kroonらの論文に掲載されている方法を参考に分化の程度をコントロールしている途中である。現在SOX-17, 0CT-4, HNF4-α, PDX-1の発現を確認し、分化の段階で唾液腺細胞の2段階前まで分化させることに成功している。さらに同様に唾液腺幹細胞を用いて分化の程度のコントロールも行っている。これにおいてはPancytokeratin, Vimentenの発現を確認し上皮系および間葉系の細胞としての両性質を持ち合わせていることがわかった。さらに導管のマーカーであるCytokeratin-19およびClaudin-1の発現を分化の2段階目から確認している。これにより早期の分化の段階で導管細胞に分化していることがわかる。さらに腺細胞のマーカーであるClaudin-3を分化の3段階目から確認していることから機能を持つ唾液腺細胞となる直前に面していることが確認できた。本研究の結果における導管から腺細胞への分化はin vivoで古くからいわれている分化の過程に合致していることから妥当な経過をin vitroで追っていると考える。以上のことから現在、最終的な分化を誘導する因子を解明するための段階としてそれぞれを唾液腺細胞と共培養する前にまで至っている。現在までの成果をまとめ学会発表する準備を行っている。
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