Sprouty2ドミナントネガティブ変異体を、歯周組織の再生時に遊走、分化、活性化すると予想される細胞群に遺伝子導入し、Sprouty分子を抑制することによって起こるさまざまな現象を調査し、Sproutyが再生にどう影響するのかを明らかにする。究極的にはそれらのデータをもとに、歯周組織破壊が起きた部位にSprouty inhibitorを局所適用した歯周組織再生療法を開発し、その有用性を確立したいと考えている。 これまでに研究代表者は、骨芽細胞株と歯肉上皮細胞株におけるSprouty2の発現の有無とその経時変化、ERKの活性を検討した。その結果、骨芽細胞株(MC3T3-E1)をbFGFで刺激した場合、Sprouty2は恒常的に発現が認められ、古典的MAPキナーゼであるERKのリン酸化の活性化が20分をピークに認められた。同様の傾向が、歯肉上皮細胞株(GE1)にEGF刺激を行ったところ認められた。さらに、MTTアッセイを行った結果、MC3T3-E1において、ERKのリン酸化に比例して細胞増殖能が活性化を受けて、GE1では抑制を受けていた。 また、骨芽細胞株においてALP活性を測定するとSproutyのドミナントネガティブ変異体は有意に活性化を示していた。これに関連して、von Kossa染色においてはドミナントネガティブ変異体の石灰化能が亢進していた。これらの結果を再検証するため、RNAiを利用して同様の実験を試みたが、いずれも上記と同傾向の結果を得ることができた。その他にも、Sprouty2抑制上皮細胞はアポトーシスやアノイキスに影響を及ぼさないことが明らかとなっている。
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