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2011 年度 実績報告書

歯周炎局所における歯周病原菌の歯肉上皮細胞への付着、侵入メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22792098
研究機関東京歯科大学

研究代表者

稲垣 覚  東京歯科大学, 歯学部, 助教 (20385165)

キーワードTreponema. denticola / 歯肉上皮細胞 / 細胞侵入 / 歯周炎 / 歯周病原性菌 / 創傷治癒 / タンパク分解酵素 / Dentilisin
研究概要

本年度は口腔内病原菌のなかでもred complexといわれ特に歯周病との関わりが深いと考えられているPorphyromoans gingivalis, Tannerella forsythia, Treponema denticolaのうち、T. denticolaの口腔内における病原性を前年度に引き続き解析した。T. denticolaは歯周炎病巣から高頻度で分離されるトレポネーマであり、歯周病原菌としては大型であり、他の歯周病原菌とは基本的な構造も異なる。本菌は表層タンパクの主要成分であるmajor outersheath protein(Msp),表層プロテアーゼdentilisin等の病原因子を持ち、動物実験においても感染による歯槽骨吸収を誘導することが示されている。
本菌はPorphyromoans gingivalis等の歯周病原菌とは異なり、これまで宿主歯肉上皮細胞内へ侵入しないと考えられてきた。本解析により、我々の共焦点顕微鏡と3Dイメージングソフトウエアを用いた画像解析によりによりヒト歯肉上皮細胞へ侵入することが明らかにすることができた。さらに本菌の病原因子であるdentilisinを相同組換えによりノックアウトした欠損株を用いた実験により、この細胞侵入にはdentilisinが関与していることを明らかにした。このプロテアーゼは本菌において宿主に対する病原性が高いことがわかっており、今後この菌の感染を防ぎ、生体内でその病原性を制御する際のターゲットの分子となりうる可能性を示唆することができた。
本菌の野生株とDentilisin、Mspをそれぞれ遺伝子欠損させた株を感染させ、in vitro Wound healing assayを行い、スクラッチにより細胞がなくなった部分への上皮細胞の遊走速度を測定し,本菌の細胞侵入が与える影響を解析した。本菌を感染させない状態においては上皮細胞のスクラッチ部分への速やかな遊走が起こり、約8時間程度でスクラッチ部分が完全に閉鎖した。一方本菌野生株を感染させるとスクラッチ部分閉鎖の遅延が認められた。Dentilisin、Mspの遺伝子欠損株を感染させた場合のスクラッチ部分の閉鎖は非感染の場合と差がみられなかった。このことより本菌の細胞侵入が歯肉上皮細胞の創傷治癒に影響を及ぼし、その作用にはdentilisin,Mspが関わることが示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Funoran-Coating Xylitol Gum and Tablets Inhibit Adherence of Oral Streptococci2011

    • 著者名/発表者名
      Inagaki S, Ishihara K, et al
    • 雑誌名

      J.Oral Biosci

      巻: 53(1) ページ: 82-86

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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