研究課題/領域番号 |
22792106
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大井 孝 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10396450)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周病 / 脳卒中 / 前向きコホート / 地域一般住民 / パノラマエックス線 / MRI |
研究概要 |
岩手県花巻市大迫町に在住する、55歳以上の一般住民143名に対し循環器疾患に関する検査および歯科検診を行い、前向きコホート研究のベースラインデータを採取、集計した。 検診に先立ち、参加者には家庭血圧計を配布して1ヶ月間自己測定をしてもらうと同時に、検診の約1ヶ月前に岩手県花巻市にある総合花巻病院にて頭部MRI撮影及びパノラマエックス線撮影を実施した。パノラマエックス線撮影は、財団法人福島県保健衛生協会から無償で譲り受けたパノラマエックス線撮影装置VeraviewIC5(株式会社モリタ)を総合花巻病院放射線室へ移設し、同病院への委託により実施した。 検診では循環器疾患の検査として、頸動脈超音波検査、上腕‐足首間脈派伝播速度(Pulse Wave Velocity: PWV)測定、血液生化学データ測定および危険因子(BMI、喫煙、飲酒等)についての情報収集を行った。歯科検診では、健全歯、う蝕歯、修復歯、欠損歯など歯に関する診査、歯周ポケットとアタッチメントロスを測定する歯周組織検査、およびパノラマエックス線撮影を実施した。問診では口腔関連QOL、口腔清掃習慣、歯科受診行動について調査した。 検診後は、検査結果を循環器内科専門医が総合評価し、対象者個別に生活習慣についての指導を行うと同時に、必要に応じて専門医療機関への受診を勧めた。歯科検診においても歯科医師による口腔内診査で要治療と判断された場合には、文書による受診勧奨を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域一般住民に対するコホート調査を実施する本研究では,当初平成22年度から25年度の申請期間に毎年150名のエントリーを予定した.一方,実際の調査検診参加者は平成22年度,23年度,24年度がそれぞれ143名,125名,95名であり当初の予定を下回っている.ただし,平成16年から続く本研究のベースラインデータの蓄積は留まることなく進行しており,現在では1100名を超える大規模コホートへと成長を遂げていることから,「おおむね順調」との評価は妥当と考える.
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今後の研究の推進方策 |
申請者は本コホート研究を平成16年度から継続実施しており,これまでに約1,000名のベースライン調査が完了している.本研究はオープンコホートであるため,今後もこれまで同様に調査検診を継続し,データベースの拡充を図る。なお更なる検診参加者の増加を図るため,検診結果のサマリーを行政にフィードバックし参加者募集に利用してもらうことを考えている. 一方,今年度は本申請の最終年にあたることから,ベースライン調査の完了した対象者の観察期間中の移動,死亡を住民基本台帳により確認するするとともに,脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)の発症状況,病型について追跡調査を行う.得られたデータは統計解析に供し,歯周病の重症度による脳卒中の累積発症率および脳卒中発症の相対リスクを検討する.
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