研究概要 |
平成17年の厚生労働省の人口動態統計では高齢者の肺炎は,悪性新生物・心疾患・脳血管障害の3大疾病に次ぐ第4位の死因で,さらに90歳以上の死因においては第2位にまで浮上する.今後も増加する高齢者の主な死因である肺炎を防ぐためには,患者の摂食・嚥下機能を正確に把握することが対応の第1歩であると考えるが、介護保険施設従事者においても同様のことが必要であると考える。施設入所者の栄養摂取方法や食形態はいったいいつ、だれがどのような理由で決定されたのか不明なことが多く、実際に肺炎で入院したり、窒息事故をおこし、最悪のケースには命を落とす入所者も少なくない。よって今回、弁護保険施設入所者の栄養摂取方法や食形態がどのような理由で決定されているかを把握するためにアンケート調査を行った。 全国の1000か所の介護保険施設に対してアンケートを郵送し、回収率は約35%だった。結果として、施設入居時の食事形態の決定者として、多くは管理栄養士・栄養士が担当しており、次いで看護師となっている。入居者の食事形態の変更においても、同様の結果を示した。食事形態を決定する際に参考する項目としては、「家族や本人の希望」、「病院からの退院サマリー」、「入居前の食事形態を継続」という順に多く、実施前に予想していた通りに統一された基準がなかった。食事形態を決定することの重要性は施設間でも認識されているものの、入所者の嚥下機能が不明である、や施設内での問題など、対応には苦慮している現状であった。今後は、提供されている食事形態が入居者に適切な食形態であるのかどうかを、VE検査を絡めて調査する予定である。
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