研究概要 |
介護保険事業で施設サービスを受ける上で重要な項目として挙げられているのが、食事である。安全に栄養摂取を行うことは、今後も増加する高齢者の主な死因である肺炎を防ぐため、さらには窒息事故を防ぐための対応が急務とされている項目であると考える。しかし現状では施設サービス受給者の栄養摂取方法や食形態は理由なく決定されていることが多く、個人の機能と乖離している可能性が考えられる。よって、本研究は,介護保険施設入所者の栄養摂取方法や食形態がどのような理由で決定されているかを明らかにし、さらにはその方法や形態が個人の機能と一致しているのかを明らかにするためにおこなった。 当該初年度には,介護保険施設入所者の栄養摂取方法や食形態がどのような理由で決定されているかのアンケート調査を実施し、回収率は35.1%であった。回答者で最多職種の管理栄養士・栄養士は、入所時の食事形態決定者としても最多で、参考資料は「入所前から食事形態を継続」が多く、入所中の食事変更決定職種は看護師、参考資料は「本人・ご家族の希望」が最も多かった。施設内に摂食・嚥下障害(疑い)者が入所している施設はほぼ100%であった。 次年度には,VE検査により現時点での栄養摂取方法や食形態が各個人の機能と適合しているかを明らかにするため、施設入所者81名に対し、現在の食形態と嚥下機能が一致しているかの評価のためにVE検査を行った。結果は、(1)食事形態変更を要する者:44名(53,0%)(2)問題なし:27名(32.5%)(3)その他:10名(12.0%)であった。実際に食事形態と嚥下機能の不一致率は高いことが明らかとなった。 また、PEGの入所者の方にも楽しみレベル等での経口摂取を望む職員は多く、食事形態の適切な評価・指導への期待も強く感じられた。
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