口腔乾燥症は更年期以降の女性に多く見られるため、女性ホルモンの減少との何らかの関連がある可能性が考えられる。よって、女性ホルモンの量と自律神経機能および唾液分泌量との関連性についての検討を目的として本研究を立案した。 昨年度、女性ホルモン測定方法の検討に時間がかかってしまい、解析できなかったため、本年度は、まずそのデータを解析した。対象は、N市在住の女性60名(平均年齢46.4±6.9歳)とした。安静時および刺激唾液分泌量、STAIによる不安尺度(状態不安、特性不安)、GHQによる精神健康度評価、SMIによる簡易更年期指数、加速度脈波計による自律神経機能評価と唾液中コルチゾールおよび唾液中エストラジオール値に相関が認められるかどうか解析した。その結果、閉経前の女性では、いずれの項目においても統計学的に有意な相関関係は認められなかったが、閉経後の女性では、状態不安とエストラジオール(R=-0.732、P=0.039)、特性不安とエストラジオール(R=-0.849、P=0.008)に有意な相関関係が認められた。 現在、新潟大学医歯学総合病院加齢歯科診療室「くちのかわき外来」受診中で、唾液分泌量が減少しており、ストレス性の唾液分泌低下であると診断された患者に対して、漢方薬処方やカウンセリングなどによる加療を行い、治療前後の比較を行っている。評価は初診時、3、6ヶ月後の3回行っている。次年度、データを解析し報告する予定である。
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