研究概要 |
我々は味覚外来を開設し味覚障害を訴える患者の診療を行っているが、味覚障害のうち安静時の口腔内の味(苦味)を訴える「自発性異常味覚」は、定量的、客観的な評価が極めて困難であり、明確な診断基準が存在しないため、その診断基準作成を目指し、指標として、リポプロテイン溶液を用いた含嗽テスト、CHQ30、クロモグラニンAの有用性を検証することが本研究の目的である。 研究計画概略は、まず健常者、続いて外来患者の唾液・血液・味覚検査等のデータ収集を行い、得られた結果を元に各々の群内での検証および群間での比較検討を行うものである。 初年度となる今年度は実験計画の詳細について立案を行った後、まず試薬の調整として、ベネコートBMI-40を用いて検証に用いるためのリポプロテイン溶液の調整を行った。被験者は味覚障害のない健常者10名とした。Katsuragiらの方法(Katsuragi Y et al,1995.)をもとに、異なる濃度、溶媒によるリポプロテイン溶液を作成し、リポプロテイン溶液の含嗽による効果を回答させた。苦味物質としては味覚定性検査用試薬の苦味(キニーネ)、コーヒーなどを用いた。 続いて、上記で調整した試薬を用いて、健常者50名の唾液・血液・味覚検査・GHQ30およびSDS・含漱効果等のデータ収集を行った。現在得られたデータを用いて群内の検討を行っている。今後、この検討結果をもとにして、患者データを収集し、比較検討していく予定である。
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