研究概要 |
本年度はiPs細胞から誘導した樹状細胞の免疫的機能を評価した。c57BL16歯肉線維が細胞由来のiPs細胞(Egusa et al., Pros One 2010)に対してOP9システムを用いることで樹状細胞に分化させた(Senju et al, 2004)。これら樹状細胞をOVA存在下で8時間培養後、OVAを除去しOT-IICD4^+T細胞と培養したところ増殖能を示したことから、抗原提示能を有することが示唆された。また樹状細胞をOVA存在下で8時間培養したものを細胞ワクチンとして3回腹腔内に投与したものは、コントロール群と比較して血清中に抗原特異的な抗体を誘導することが確認できた。しかしながらその抗体価は代表的なアジュバントCTが誘導するものと比較すると弱いものであった。樹状細胞によるT細胞応答は「サブクラスの存在」と「成熟化の違い」があげられるが、現在これらを考慮したTh-1&Th-2のバランスがよい樹状細胞ワクチンのシステムを考慮している。 成熟樹状細胞によるCD4+T細胞分化の運命決定において、Notchリガンドファミリーが重要な役割を果たすことが知られている。Flt3hgand発現アデノウイルス(Ad・FL)とOVA抗原を経鼻免疫したマウスから分離した樹状細胞とOTIICD4+T細胞をDAPT存在下(もしくは非存在下)にてOVAで刺激したところ、IFN-YおよびIL-4産生CD4^+T細胞、DAPT存在下群において、コントロール群と比較して著しい減少がみられた(Fukuyama et al., Biochem Biopys Res Commun 2012)。このことはNotch-Notch-LpathwayがTh1-&Th-2サイトカイン産生に必要であることが示された。
|