本研究では、深部損傷褥瘡(Deep Tissue Injury: DTI) の発生機序を解明し、予防的かつ治癒に貢献する看護ケアを開発するために広範に組織の観察が可能である動物実験モデルを開発した。その結果、臨床で発生するDTI の所見を包含した創をラットに作製することができた。炎症性細胞は創縁から創中心部に向けて波及する様子が観察されたことから、創中心部への炎症性細胞浸潤の遅れにより時間差が生じ、一部炎症の慢性化像を示して創傷治癒の遅延を引き起こしたと考えられた。さらに創治癒悪化防止を目的に創作製直後に冷罨法を実施した結果、冷罨法群では圧迫創発生直後は対照群に比較し炎症性細胞の浸潤が多いが、後の壊死領域が減少する所見を得た。組織学的詳細および適切な看護ケア介入方法は今後さらに検討する。
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