研究概要 |
昨年度のラットを用いたin vivo実験で、1時間以内の実験では加圧力とPO_2の関係を求めることができた。しかし、組織の沈み込み量を見ると、1時間加圧の実験では、組織内血液が排除されることによって起こる粘弾性特性と同じようなクリープ挙動を示しており、1時間加圧後も変位が一定になっていなかった。組織の変位が一定になるまで加圧時間を長く取ることは、麻酔等の関係上できなかったので、長時間加圧時の加圧力とPO_2の関係をin vivo実験のみで求めることは難しかった。そこで、本年度は細胞を低酸素状態(1%,5%O_2)で長時間培養した時のLDHを測定し、細胞障害率を求め、細胞死に至る時間と酸素濃度の関係を求めた。 その結果、マウス上皮組織由来繊維芽細胞L929では、12,18時間でいずれも障害率は小さく、通常の培養結果と差が見られなかった。しかし、48時間では1%O_2のときに障害率がLDHで60~100%見られ、5%O_2でも通常よりも高い値が見られた。1%O_2,24~36時間では20~90%の間で損傷率がばらつくことが見られた。マウス横紋筋由来筋芽細胞C2C12のLDH活性による障害率測定の結果も、L929と近い傾向が見られた。 また、体圧分布測定システムを用いて平坦床、畳敷き床、ゴム製エアーマット、圧分散マット、市販の介護用ベッドでの、体圧分布測定を行なった。測定時の体位は仰臥位で、特に仙骨部を中心に圧力分布を測定した。以上の結果を元にFEM解析ソフトを用いて,マットの種類や加圧面積の変化による血流変化の解析を行なった。
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