研究概要 |
本研究では,リンパ浮腫ケアの現状を把握し,看護師のリンパ浮腫に対する知識,認識,アセスメント能力,ケアの実施状況を明らかにすることで,適切な教育のあり方を検討し,アセスメント能力と看護実践能力育成のための教育プログラムを構築することを目的とし研究を推進している。平成22年度には,まず,リンパ浮腫ハイリスク患者と発症患者に対する看護ケアの現状把握の一つとして,リンパ浮腫ケアについてのセミナーに参加し,リンパ浮腫の病態,ケアに関する知識や具体的な対応・方法,リンパ浮腫にかかわる診療報酬制度などについて習得した。また,学会等に参加し,がん看護やリンパ浮腫ケアに携わる看護師,リンパ浮腫セラピスト等との情報交換や意見交換を行った。次にリンパ浮腫に関する看護師の主観的・客観的評価を調査するために,リンパ浮腫の知識や認識の測定方法を検討し,患者の知識に対するリンパ浮腫知識スケール(作田ら,2005)の活用を検討している。 看護師の正確な知識に基づいたアセスメント能力を高めることで,患者に適切な教育・指導を行うことができ,患者の積極的なセルフケアの促進及びリンパ浮腫の発症・重症化の予防や早期発見を目指すことができる。看護師は知識・認識・技術に対する不安,時間や人員の不足等の理由により,ケア実施が困難であると認識している。そのため,認識や教育背景により知識の獲得やケアの実施に影響が出ることが予測され,これらの関連を明らかにすることで,リンパ浮腫ケアのための教育の基礎資料になると考えている。平成23年度は,これまでの文献検討の結果を基に作成した質問紙を用い,プレテストを実施し,内容を検討した上で,看護師のリンパ浮腫ケアの現状及びリンパ浮腫に対する主観的・客観的評価について調査を実施していく。
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