研究概要 |
本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患(以下,COPD)の,啓蒙・啓発および早期発見・発病予防に向けての教育的プログラムの構築を目的としている。 平成22年度は,一般市民のCOPDの認識についての実態調査を行うために,現在まで行われているCOPDの啓蒙・啓発活動について情報収集を行った。また,国際学会に参加して各国の呼吸器疾患患者への看護診断の現状と課題,慢性疾患患者への教育の実際と今後の課題に関する情報を得た。加えて呼吸ケアリハビリテーション学会に参加し,日本国内で行われているCOPDの啓蒙,啓発活動についての取り組みに関する情報取集を行った。その中で,一般市民だけでなく医療従事者でもCOPDに関する知識が少ないことや,予防や早期発見に対しての取り組みの遅れの現状がうかがいとれた。呼吸器専門病院での研修では,病院独自で行っている一般市民の人々に対する啓蒙,啓発活動のあり方や,患者教育では患者に対する教育の意義やポイントについて学ぶことが出来た。また呼吸器専門病院では,看護師が主体的に患者教育や継続的支援を行っていることを目の当たりにし,患者の療養生活を支える看護師がCOPDの啓蒙・啓発活動や予防教育に携わることが重要であることを再確認した。 以上のことをふまえて,H23年度は教育プログラムに必要な因子を明らかにするために,一般市民だけではなく医療従事者に対してCOPDに関する認識の実態調査を行っていく。この調査項目には,COPDの疾患,症状,発病原因についての質問を行う。さらに一般市民への調査項目には,疾患関連の項目の他に,健康診断への受診状況や生活習慣についての質問を行い,健康予防行動に影響を及ぼしている要因についても明らかにしていく。
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