本研究の目的は、慢性閉塞性疾患(以下、COPD)の啓蒙・啓発および早期発見・発症予防に向けての教育プログラムの構築を目的とした。 プログラムの構築を行う上で、文献検討を行ったところ、医療従事者であってもCOPDについて十分に理解されていないのではないかと述べている文献が多く見られたため、本研究では、現在まで、医療従事者および非医療従事者がCOPDについての知識の程度と関心についての調査から行うこととした。その結果、非医療従事者(患者)に対して疾病に関する指導・教育を行っている医療従事者であってもCOPDの疾患や治療、診断、予後に関しての知識については十分でなく、曖昧にしか理解されていないことが明らかとなった。加えて、COPDへの関心の程度に対しても「関心がある」と回答した対象者は、調査を行った医療従事者の約半数のみであった。この医療従事者への調査の結果より、今後、医療従事者に対してのCOPDについての知識の普及が重要な課題であることが考えられた。また、非医療従事者に対して行ったCOPDの認知度に関する調査でも、COPDを「知っている」もしくは「聞いたことがある」と回答した対象者はごくわずかであり、未だCOPDについての理解が得られていないことが明らかとなった。COPDに対する関心に対しても、「関心がある」と回答した対象者は医療従事者と同様に低いことも明らかとなった。今後さらに、COPD患者の増加が予測される中、医療従事者が積極的に教育活動を行い、非医療従事者のCOPDに対する関心を高め、COPD患者の増加を防げるような働きかけが必要ではないかと考える。本研究は今後も継続して実施し、医療従事者の中でも、COPD教育の中心となる人材の育成を実施していきたいと考える。
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