研究概要 |
【研究目的】卒前・卒後の一貫した医療安全教育のモデル構築に向けて、卒前教育と卒後教育についてそれぞれの求められる教育を抽出することを目的とする。さらに、中堅看護師に対し看護基礎教育をどのように臨床現場に応用してきたかのプロセスについて調査し、医療安全に関する看護基礎教育ニーズを明らかにする。【研究方法】1.研究デザイン:半構成的面接調査。2.調査対象:(1)500床以上の総合病院に勤務する5年~10年目の看護師10名、(2)卒後1年~2年目の看護師10名。3.調査期間:2010年7月~2010年3月.4.調査内容:卒前教育の内容、就職後に新人研修で受けた研修内容、病棟配属後の医療安全対策実践への気づきから、自らの行動化に至るプロセス等。【分析方法】Wengerによって提唱された状況論的学習観に着目し、実践における学びに焦点をあてた正統的周辺参加論(Legitimate Peripheral Participation) (Jean Lave, Etienne Wenger. 1991)の手法を用いた。【今年度の研究活動と今後】平成22年度は、研究対象施設に研究協力依頼を行い、同意の得られた対象者に対し半構成的面接調査を実施した。(1)5年~10年目看護師の研究協力者は、男性1名、女性9名、平均年齢30.0歳、平均勤続年数7年6か月。卒後1年~2年目看護師の研究協力者は、男性2名、女性8名、平均年齢23.5歳、平均勤続年数1年3か月。5年~10年目看護師は、入職以降、様々な業務の経験を経て、後輩の入職を契機にアイデンティティの変化が生じ、特にリーダー業務の経験を境にブラックスボックスからガラスボックスへと組織の可視化が生じ、組織の一員としてのアイデンティティの確立に至っていた。そのプロセスで、医療安全に対する考え方が変化していた。トップダウンの医療安全対策に対し協調的に看護することで、再生産に寄与しながら自らの看護実践の多様化が生じていた。平成23年度は、卒後1年~2年目看護師のデータを分析し、平成24年度のアンケート調査への準備を進める予定である。
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