研究課題/領域番号 |
22792140
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
山本 恵美子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (50464128)
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キーワード | 医療安全 / 看護基礎教育 / メタ認知能力 / 質的研究 / 新人看護師 / 中堅看護師 |
研究概要 |
【研究目的】卒前・卒後の一貫した医療安全教育のモデル構築に向けて、卒前教育と卒後教育について検討し、臨床経験をとおした医療安全に関する学習のプロセスを明らかにする。【研究方法】研究対象:500床以上の総合病院に勤務する1年目~2年目の看護師。調査方法:半構成的面接調査。調査内容:卒前・卒後の教育・研修内容、医療安全対策実践への気づきから、自らの行動化に至るプロセス等。【分析方法】面接内容を逐語録とし、医療安全の学習に関与していると思われる内容について意味のある文節ごとに区切り、その意味を表現する部分をコード化し、分類し質的帰納的に分析した。【結果・考察】研究協力者10名。男性2名、女性8名、平均年齢23.5歳。入職後、病棟のルールになれ学生時代の実習とのギャップとして、「複数の患者を同時に受け持つことへの不安」、「時間に追われ思うような看護ができないこと」、「情報量の多さ」、「優先順位の立て方」があった。自己解釈による単独行動が、エラーの誘発を招くことを臨床経験・指導を通して実感し、行動前に再考し、カルテなどの確認行動、先輩看護師へのアクセスといった行動修正のスキルを獲得していた。新人看護師として組織に参入する中で、「自分のリズムで仕事を進められるようになる」ことにより余裕が生まれ、ベテラン看護師の業務の進め方を参考にスキルとして取り入れていた。自己判断による単独行動の危険性について学習する機会などの思考の育成が必要であることが示唆された。【今年度の研究活動と今後】これまでの面接調査で得られた内容をもとに、東海地方の500床以上の総合病院を対象に質問紙調査の協力を依頼した。協力の得られた施設が予定を下回った為、北陸・甲信越・関西地方の施設を対象に拡大し40カ所より協力を得た。新人看護師・中堅看護師を対象とした質問紙調査を実施した。平成24年度は、回収したデータの分析を進め、研究全体の分析・考察を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該計画では、研究3として平成24年度の新人看護師、臨床経験5年以上10年目の看護師を対象とした質問紙調査を平成24年度に計画していた。面接調査を進める過程で、年度末の新人看護師への質問紙調査が研究上、有意義なデータが得られると判断し計画を前倒しして質問紙調査を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、研究の最終年度にあたるため、これまで実施した研究1.中堅看護師対象の面接調査結果、研究2.1~2年目看護師の面接調査結果、研究3.東海・北陸・甲信越・関西地方の500床以上の総合病院を対象とした質問紙調査の分析の3つの研究の総合分析を進め研究の成果として論文作成を速やかに行う予定である。
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