本研究の目的は、循環動態の変動が少ない安全な離床援助方法について検討することである。平成 22 年度には先行研究の検討を行った。 また、 看護師を対象としたインタビュー調査を実施し、離床の援助を行う際に困難に感じている項目を明らかにした。インタビュー調査の結果、離床時に経験する有害事象として低血圧や不整脈、また、離床援助時の留意事項として点滴や膀胱留置カテーテルの抜去が挙げられた。次の段階として、65 歳以上の高齢者を対象とした実験研究を実施した。血圧、心電図、前額部の血流に加え、加速度計を使用し仰臥位から立位へいたる体の動きを測定した。対象者が立位をとると、酸化ヘモグロビン変化量が急速に減少した。一方、還元ヘモグロビン変化量は速やかに上昇した。仰臥位における酸化ヘモグロビン変化量の平均値と、起立後 30 秒時点の平均値を比較したところ、有意な差が確認された(p<0.05)。
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