研究課題
本研究の平成22年度目的及び計画である「価値時間の算出に必要な重み付け要因の明確化」において、まず、ある看護業務が開始から終了までどのようなプロセスを経るのかを明らかにする必要があった。このため、臨床現場でヒヤリング調査を行い、その情報をもとにソフトウェア工学の手法であるUML (Unified Modeling Language)を用いて、ある特定の看護業務の可視化を試みた。その結果、『患者移送』『指示受け業務』について、一定の流れ図を作成するに至ったが、一言で『患者移送』と言っても、そのプロセスは様々で、再現性に乏しく、フローのパターンを見出すことはできなかった。又、『指示受け業務』も、病棟ごと又は施設ごとにプロセスは異なり、さらに勤務帯や指示受けする内容によってもプロセスの変化が起き、『患者移送』業務と同様にパターン化が困難であることが示唆された。このパターン化できない部分こそが、時間の価値形態と密接な関係にあると考えられる。今後それらの業務事例を用い、それにかかる見かけ上の時間(タイムスタディで計測できる時間)を抽出し、その時間で業務を行うために必要な知識、技術等の要因を探求していくことが必要である。又、現在客観的な指標として使用されている時間の物理的概念に加え、精神的なプレッシャーなど、それ以外で時間に価値を与える要因についても探索が必要であり、平成22年度の結果はその礎となるものであると考える。
すべて 2010
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ITヘルスケア誌
巻: 5 (2) ページ: 124-134
http://dx.doi.org/10.11204/ithc.5.124