研究課題
平成23年度の目的及び計画である、「業務行動に至るまでの思考・判断プロセスの分析」において、数多くある看護業務の中から『指示受け業務』に焦点を当て、H22年度に作成したUMLを活用し業務パターンの可視化を行った。H23年度は、更に、そのUMLアクティビティ図とタイムスタディデータを元に、どの細分業務行動にどれだけの時間を要しているのか、それば病棟(診療科)ごとにどのような差異・特徴があるのかを検証した。病棟(診療科)による投入時間には大きな違いが認められ、その要因には、入院患者の特性が関与している事が判明した。具体的には、1日勤において相対的に『指示受け業務』に費やされた時間が、外科病棟では54分43秒であったのに対し、緩和ケア病棟では2倍以上の2時間44分53秒であった。また、麻薬使用患者、非使用患者の別で指示受け業務関連時間を計算すると、「薬品・物品・処方箋の確認」等に費やす時間、及び、「薬品・物品を使える状態にセットする」等の時間は明らに麻薬使用患者が多かった。外科病棟については、術前~術後にかけて、予測される患者の状況と実施される治療にパターンが認められるため、『指示受け業務』の細分業務の在り方にも一定パターンが発生することで、必要な時間が決まってくる。しかし、緩和ケア病棟では麻薬使用患者が多く、処方から投薬までにダブルチェックや押印、鍵のかかる保管庫からの出し入れなど多くの業務手順が発生すること、また、麻薬の定期処方期間が短く、患者に合わせた麻薬量の細かな調整等も発生し、指示受けに関連する業務量が相乗的に膨らむ現実が明らかとなった。指示受け業務を遂行するために必要な看護師側の知識・技術については、これらをリーダークラス以上の看護師が担っている事が鍵となっており、H23年度の結果はそれらの分析を進める上で、時間に影響する要因の整理に繋がる、有意義なものであった。
3: やや遅れている
研究を経る中で、当初に立てていた仮説では不足の事象が浮上しそれらの分析を加味しながらの前進であり、時間がかかっているため。また、記録された多くのデータを、識者の目で確認しながらのデータ分析に思いのほか時間を取られているため。
データの綿密な解析が必要であるため、手伝い要員を増員し、スピードアップを図る。
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