研究概要 |
実質的な死亡原因の第1位として動脈硬化の関与があげられ,動脈硬化進展を抑制することは重要な課題である.近年,血管弾性の改善に運動が効果をあげることは立証されてきているが,継続させることが一番の問題点として挙げられている.簡便であれば,運動を遂行できない対象者(入院患者,糖尿病性腎症等)でも遂行できるのではないかと考え,着衣状態で遂行でき,免疫機能,血流動態,自律神経機能に作用する「足浴」が動脈硬化の改善・抑制に及ぼす効果について検討する.最終的に,清潔ケア及び睡眠導入としてのケアだけでなく動脈硬化や片麻痺患者の患側への治療・看護技術応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である.人工炭酸泉(1,000ppm以上)による足浴及びシャワーで皮膚表面が紅潮することが報告されている.皮膚血流が増加にともない血流動態が変化し真水を用いた足浴と異なる効果が得られる可能性についても明らかにしていくことも目的の一つである.真水と人工炭酸泉を用いて水温35℃,40℃,45℃の計6条件で足浴を行い心拍数,血圧,平均皮膚温,深部体温,唾液アミラーゼ活性,主観的温度感覚及び自律神経調節について検討した.心拍数,自律神経調節に関しては,現在再度解析中である.血圧は,条件間及び時間経過に大きな変化はみられなかった.皮膚温と深部体温は水質の条件間で変化が異なることが確認され,自律神経調節の変化と合わせて更なる考察を進める. H23~24年度にかけて,足浴が動脈硬化度及び血流速度に及ぼす影響について調査を継続して行う.本年度は,若年男性を対象に加え,男女差についても検討する予定である.
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