出雲市では,高齢者の健康増進と介護予防を目的とし,地域に居住した高齢者を対象に健康教室を展開している。今回は,この取り組みが高齢者の主観的な認知機能における効果について報告する。 対象者は,平成22年から23年度の出雲市の健康教室に参加し,同意のとれた高齢者74名とした。研究方法は,無作為割り当てによる介入研究であった。介入方法は,毎日の運動目標を設定し,週2回の健康体操の運動教室を実施した。また,栄養改善は,栄養士による問診を基に個別に栄養改善目標を設定した。統計解析は,PASW Statistics 18を用いt検定, Mc Nemar検定, Pearsonの相関係数を行い,重回帰分析を行い,両側でp値が5%未満を有意な差と判定した。 対象者は,年齢が74.61±5.92歳,性別が男24名,女50名であった。運動機能は,介入前と比べ介入後の開眼片足立ち(最大値),開眼片足立ち(平均値),TUG(最小値),TUG(平均値),5m通常歩行速度,5m最大歩行速度が有意に改善した。栄養状態は,血清総タンパク値及びアルブミン値ともに有意な差がなかった。認知機能では,もの忘れの該当項目数が有意に減少し,周囲からの指摘,短期記憶の忘れの該当率が有意に低下していた。また,認知機能の関連では,運動機能の握力,栄養状態の血清総タンパク値及び血清アルブミン値で有意な相関が示された。運動機能のTUGについては,負の有意な相関があった。重回帰分析では,認知機能と握力とTUGが有意な関連が示された。 高齢者の健康教室参加は,一日の運動量を増加させ,運動機能が改善する。高齢者の運動量の増加は,栄養指導によりエネルギー過度の消耗を抑制できた。これらの介護予防プログラムの実施が認知機能の改善つながった。
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