本研究の目的は,患者の満足度に関して,医師や看護師だけでなく,患者を取り巻く多職種からなるチーム医療に対する満足度を測定するために,職種間の連携を含めた患者の満足度を測定する尺度を開発し,その尺度の妥当性・信頼性を検証することである。その際,居住地域や収入,年齢等によって提供されている医療サービスに違いがある可能性が推測されるため,それらの要因を数レベルに分類し,それぞれのレベルで因子構造の確認を行う。そして,共通した因子構造を抽出することによって,一般化可能性が高く,より多くの患者が回答可能な尺度を開発する。 過去1年以内に入院経験のある日本各地の男女に対してインターネット調査を2度実施し(計1824名;第1回1061名,第2回763名),尺度の妥当性や信頼性について検証した。その結果,5因子(看護師の技術・接遇,医師の技術・接遇,アメニティ,医療従事者間の一貫性,医療従事者間の情報共有)・33項目で構成される尺度を開発した。多変量解析の結果,『看護師の技術・接遇』および『医師の技術・接遇』と『患者の総合満足度』の関連に加え,『医療従事者間の一貫性』と『患者の総合満足度』の関連も示された。 本研究の結果より,従来明らかにされてきた医療従事者個人に対する評価だけでなく,医療従事者間の一貫した姿勢も患者の満足度を高める可能性を示した。
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