目的:MRSAは院内で接触感染を起こす院内感染の主要菌として、有名である。以前は手から手へ伝播していくと考えられていたが、最近になって、高頻度手指接触面(ドアノブやいす)の汚染が感染源になっていることも明らかにされた。今回、病棟内の高頻度手指接触面のうち、具体的にどこにMRSAが潜んでいるのかを明らかにするために調査を行った。調査対象:中規模病院1施設、1病棟とした。調査方法:ふきふきチェックII(栄研)を用い、高頻度手指接触面と考えられるドアノブ、カルテ、点滴スタンド、ナースコールなど計32項目につき、それぞれ2箇所、合計62表面において一般生菌とMRSAについて調査を行った。また、調査結果が一過性のものであるか判断するために、同じ調査を2度行った。病室内の環境表面であるベッド柵などについては、MRSA患者の病室と、一般患者の病室を対象にした。拭き取りの面積については、調査対象項目のサイズ、形が様々であるため今回統一していない。結果:一般生菌について、4表面すべてから20万個以上の菌が検出されたのは、ドアノブ(廊下側)のみであった。3表面より20万個以上の菌が検出されたのはオーバーテーブルの側面のみであった。1表面のみより20万個以上の菌が検出されたのは、カルテ、配薬カート、電話、ナースコールの受話器、ドアノブ(病室側)、床頭台、点滴スタンドなどほとんどの場所であった。MRSAについては、いずれの場所からも検出されなかった。
|