療養型病院に入院中の片麻痺手を持つ患者を対象に、両手掌部の細菌数・ATP 値・発汗量・におい・表面温湿度・皮膚 pH 値を石けん手浴の前後、経時的に測定した。石けん手浴直前の麻痺手の手掌部は健手に比べて細菌数・ATP 値・皮膚 pH 値が高く、発汗量では両手掌部に差がみられなかった。また、拘縮のある麻痺手の手掌部のにおいは健手に比べて高い傾向がみられた。細菌数・ATP 値・皮膚 pH 値・においの経時的な変化では、石けん手浴直後に低値を示し、24時間後、 48 時間後と徐々に増加し、 72 時間後には石けん手浴直前と同程度であった。 麻痺発症後の期間が長いほど細菌数・ ATP 値は健手に比べて麻痺手で高値を示し、 ADL が低く拘縮が強いほどにおい・手掌部表面湿度・pH 値が高値であった。以上のことより、麻痺手不快臭の発生は麻痺手の拘縮状態・表面湿度・pH 値に関連があることが明らかになり、石けん手浴を 2~3 日に 1回以上行うことで不快臭の発生を抑制できることが示唆された。
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