研究課題/領域番号 |
22792162
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
竹内 久美子 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (80453455)
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キーワード | 看護管理 / 人的資源管理 / 組織適応 / 新卒看護師 |
研究概要 |
本研究は、新卒看護師の職場適応過程を明らかにし、新卒看護師の職業継続を支援することを目的としている。当該年度は、新卒看護師を対象とした、3回の縦断的調査を実施した。調査内容は、新卒看護師が抱く「やめたい気持ち」の強さ、自己効力感、組織適応に関する関連要因の調査である。縦断的調査の結果では、新卒看護師が入職後から「やめたい」と感じており、その後臨床経験を積み重ねる中でもその気持ちは強くなることが明らかとなった、さらに、新卒看護師の「自己効力感」の変化が、「やめたい」という気持ちの強弱に大きく影響していることが明らかとなった。また特筆すべき点として、「やめたい気持ち」の強弱には、「やめたい気持ち」を強める「閉塞感」「現状と能力の不一致」、「やめたい気持ち」を弱める要因として「挑戦する力」が存在することが明らかとなった。特筆すべき点として、「やめたい気持ち」の強弱、および規定要因の共分散構造分析の結果、入職直後に「やめたい気持ち」を抱くことで、入職3カ月後の「挑戦する力」が醸成されることが見出された。このことで、新卒看護師が「やめたい」と感じることの肯定的側面が確認され、新卒看護師が「やめたい気持ち」を抱くこと自体を問題視するのではなく、その「やめたい気持ち」から「挑戦する力」を醸成するよう支援することの重要性が示唆された。 今後は、「個人の適応行動」と組織側の提供する「組織社会化戦術」に焦点をあて、組織と新卒看護師を対象として調査を実施し、新卒看護師の適応行動と組織の施策の関係について考察することが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
縦断的調査を郵送法にて実施しているため、調査票の回収に時間を要している。さらに、期限後に回収された調査票を分析に加えるため、分析作業にも影響が生じており、結果のまとめが遅れているため、当初の研究の途中経過の公表が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、新卒看護師という特徴的な時期にある看護師を対象としているため、調査時期・方法を十分に検討する必要がある。また、対象者への倫理的配慮も十分に検討し、進めることが必要である。そのためにも、事前に計画を熟慮するとともに、必要時計画の修正を実施していく。
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