研究概要 |
平成22年度の研究結果に基づき,創造的問題解決スキルの評価と学習を目的としたe-learningシステムを構築するために,(1)看護における創造性を学習するためのビデオ教材の作成,(2)看護における創造性に関する評価項目とその評価基準の妥当性の検討を行った.それぞれの取り組みに関する成果を以下に示す. (1)看護における創造性を学習するためのビデオ教材の作成 e-learningシステムの主要なコンテンツとして,昨年度に実施した質問紙調査・参与観察の結果から明らかとなった,学生が臨地実習場面で実際に行っていた「創造的な看護実践」の内容をベースとしたビデオ教材を作成した.教材は,看護実践における問題解決場面の説明とその解決例の紹介から構成される.教材は学内において公開され,学生は授業時間以外にも自己学習することが可能となった. (2)看護における創造性に関する評価項目とその評価基準の妥当性の検討 昨年度に作成した,看護における創造性に関する評価項目とその評価基準をまとめたチェックリストの妥当性を検討するために,創造性の育成を目的とした大学の授業(看護過程および医療情報学)の授業評価にチェックリストを導入した.また,あわせて自由記述形式の質問紙調査を行い,チェックリストの回答との関連性を分析した.その結果,チェックリストによる評価内容は,自由記述の回答や各科目の担当教員による活動内容の評価とおおむね整合しており,評価項目および評価基準に妥当性のあることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である,e-learningシステムのコンテンツ作成はおおむね完成しており,システムの評価機能についても,評価項目や評価基準の妥当性が確認されたことから,来年度の授業までにシステムに実装することが十分に可能であるため.
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今後の研究の推進方策 |
来年度はe-learningシステムを複数の看護教育科目に導入することで,システムの有効性に関する実践的評価を行う.具体的には,授業の前後にシステムを利用した創造的問題解決スキルの評価を実施する.そして,授業における看護学生の活動内容と評価の結果との関係を分析することにより,システムの有効性および教育的可能性について評価を行う.また同様に,システムのハードウェア面に関しても実践結果に基づいて評価を行う. さらに本研究では,大学の看護教育場面だけでなく,病院における新人看護師の教育場面に適用できるよう,実際に研修などを担当している看護師に意見を聞きながらシステムを改善する.
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