本研究では、皮膚に加わる外力により生じる皮膚ひずみを測定することで、皮膚に加わる外力を評価する方法を開発し、褥瘡患者への看護・介護技衛を構築することを目的に今年度は以下の研究を実施した。1.皮膚ひずみを測定するためには皮膚に動ひずみセンサーを密着させても生体に侵襲がなく、皮膚が脆弱な褥瘡患者の褥瘡周囲部を測定しても医学的に安全な測定方法を褥瘡治療の専門医師の監修のもと開発した。この測定法は、褥瘡患者に提供されている看護援助技術を評価することを予定しており、経時的に測定することはもちろん、褥瘡患者のからだの動きならびに看護・介護を実施する援助者の動きを制限しない測定方法である。また、ヒト皮膚に材料特性上、類似した褥瘡モデルを作成して、皮膚ひずみ測定法の妥当性を検証し、皮膚ひずみが計測可能な方法であることを確認した。2.外力による褥瘡部の創の変形特性の把握をするために、褥瘡患者を被測定者として本研究で開発した皮膚ひずみ測定法を用いて、看護援助技術や褥瘡の治療などで生じる皮膚ひずみの測定の結果、皮膚ひずみの測定値から褥瘡部の創の変形方向と変形状態を看護援助技術や褥瘡の治療の実施前後で相対的に比較することが可能であることを確認した。3.褥瘡患者・褥瘡ハイリスク患者の褥瘡部の皮膚ひずみが生じやすい看護・介護技術を評価するための項目を基に皮膚ひずみ測定を実施した。その結果、患者の体動や体位管理に関わる援助技術の際に褥瘡部の皮膚ひずみが生じ、褥瘡の変形が考えられた。
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