本研究の目的は、補完・代替療法(以下CAMとする)を利用するがん患者の取り組みを明らかにし、患者に対する具体的で継続的な看護支援モデルを開発・精練し、CAM利用者のQOLを向上させることである。平成25年度の計画は、「がん患者のCAMへの取り組みを支える臨床看護実践方法について考案・開発するために、患者を取り巻く多職種が、CAMに関してどのような認識をもち、どのような実践をしているかを明らかにする」ことであり、以下の成果を得られた。 1.多職種に対して統計学的な調査を行うことを前提に文献検討を行った。保険診療を行う医療施設において、がん患者の診療に関わる医療従事者(医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学・作業療法士、言語聴覚士)が行うがん患者のCAM利用支援に影響するものは何かを明らかにするための質問紙の作成が必要であることが示唆された。変数として、対象となる医療従事者の基本属性(7項目)、CAMに関する知識・情報・技術(4項目)、CAMに関する心理的側面(2項目)、CAM利用支援を行う就業環境や利用者との関係等の社会的側面(8項目)、他の医療従事者との連携に関する側面(2項目)を導いた。また、CAM利用支援を量的に測定するための尺度を開発するために、各種医療従事者に対する質的方法による因子探索研究の必要性を導いた。 2.CAMに取り組むがん患者に対する看護実践における経験について引き続き文献検討を行った。その結果、看護師は、CAMに関する知識や情報を意図的に得る機会をもつことにより、より積極的に患者・家族の体験を受け入れ、いつでも相談ができる環境を提供することが可能となると示唆された。 3.今後は、1の質問紙を完成し調査を実施・分析したうえで、チーム医療の中で行われる臨床看護実践方法を考案していく。
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