データ収集:調査1では、発声可能な終末期がん患者と配偶者の相互作用を明らかにするために、データ収集を継続したが、2組の対象に依頼をして、研究への参加を断られた。理由は「配偶者のストレスとなるため」などであった。調査2では、治療により失声をきたした終末期がん患者と配偶者の相互作用を明らかにするために、データ収集を継続したが、1組の対象に依頼をして、研究への参加を断られた。理由は「患者の身体的苦痛が強く研究に協力する余裕がない」であった。よって、最終的に対象は、調査1では2組、調査2では1組であった。 分析:データは、まず質的帰納的に調査1、2それぞれ個別分析を行い、その後先行研究にて明らかになっている終末期がん患者と配偶者の相互作用の大表題に照らし、演繹的に分析を行った。個別分析手順は、① 患者と配偶者の面接の逐語録を精読後、患者と配偶者のそれぞれの相手への思い、相手への働きかけ、相手からの働きかけ、自分自身の働きかけや相手からの働きかけに関連する思いなどが含まれている記述部分を、前後の文脈を含めてそのまま抜き出す ② 抜き出した記述を元の記述に忠実でありながら「簡潔に表現した意味の単位」に構成しなおす ③ ②の記述の中から、内容・話題・状況・時期の同じものを集めひとくくりにし、患者と配偶者の体験した一連の相互作用が具体的に理解できる表現で記述する ④ ③の「具体的な一連の相互作用」の記述をさらに簡潔に表現する である。 看護モデルの構築:分析結果と文献検討の内容を合わせ、終末期がん患者と配偶者の相互作用を支える看護モデルを構築した。看護モデルは、発声のできる患者である場合とそうでない場合とで分けられ、相互作用の特徴毎に目標設定がされており、まず援助をする対象となる終末期がん患者と配偶者の相互作用の特徴を知り、その特徴に合わせた目標を設定し看護援助を実施するものである。
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