今年度は、同意の得られた疾病を併せ持つ高齢糖尿病患者を対象に、セルフケア獲得に向けての学習支援を実施、評価することであった。具体的には、1.平成23年度に実施した調査の結果をまとめ、糖尿病看護に携わる看護師とともに、介入方法を検討する。2.所属機関の倫理審査委員会の承認を得て介入研究を実施、評価した。 平成24年度の研究成果としては、1.34名を対象に、疾病併存状態であることでのセルフケアの困難さや工夫していること、それぞれの疾病の捉え方について半構成的インタビューを実施した。その結果、対象者らは、血糖値等指標があり、具体的に気を付けることを指導されている糖尿病の療養行動に関心を向けており、これまで行ってきた療養行動が併せ持つ疾患や加齢に伴う変化によって行えなくなることを困難として捉えていた。変化する身体や生活に応じた方法を調整していくという観点からの支援の重要性が示唆された。さらに、看護師8名を対象に、糖尿病と他の疾患を併せ持つ高齢者を支援する上での認識についてインタビュー調査を実施した。なお、本調査は研究協力者である糖尿病看護に携わる看護師と共に実施した。結果として、疾患を併せ持つことで療養生活上問題となることを認識していた者は少なかった。2.紹介を受けた16名のうち、継続的に学習支援を行うことに同意が得られた4名に対して、約6ヵ月間継続的に支援を行い、前後でSCAQおよびPGCモラールスケールを実施した。対象者らは疾患を併せ持つことでのセルフケアの困難を認識していない事も多く、援助者側が疾患を併せ持つ上でのセルフケア上の支障を査定しつつ継続的に支援する必要性が示唆された。 また、今後の研究の展開として、高齢者の変化する身体状況や生活環境に応じて、医療施設にとどまらず、高齢者施設および在宅におけるサポートシステムの構築について探究したいと考えている。
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