研究概要 |
糖尿病患者の腎症合併は少なくなく,血糖や血圧の適正な管理することが発症や進行抑制につながる。そのため,早期からの食事管理が重要となるが,エネルギー量摂取制限が優先され,栄養摂取バランス,特に塩分摂取量については徹底されていない現状もある。そこで,塩分摂取量は目分量や味覚から概算することが困難であることから,塩分濃度計を使用し,糖尿病患者の塩分摂取を含めた栄養摂取バランスを調査し,患者自身が感じている困難などの実態を明らかにすることとした。その結果から,糖尿病性腎症を予防する為の患者が実践し易い食事指導について検討する。 糖尿病性腎症発症についての文献を検討した結果,様々な生活行動の関連が言われているが,進行抑制には,血糖管理と血圧管理が重要であることがすでに示されている。糖尿病患者は,腎尿細管でのNa再吸収が亢進し,食塩感受性高血圧をきたしやすいため,糖尿病の食事療法の一つとして食塩摂取制限が重要であるが,徹底されていない現実もあった。そのため,塩分摂取に着目し,糖尿病患者の栄養摂取バランスと食習慣を明らかにし,実践可能な指導について検討していくこととした。 外来通院中の糖尿病性腎症前期または早期の患者約30名を対象に,食事摂取量(1日の栄養素摂取量,PFC比,塩分摂取量),食習慣(食材や調味料の計測,カロリーの計算,塩分測定等),身体状態(血糖値,HbA1c,血清総蛋白質,アルブミン,尿素窒素,クレアチニン,ナトリウム,カリウム,HDLコレステロール,LDLコレステロール,中性脂肪など)を調査する。本年度は実施計画を立て,倫理委員会に提出した。平成24年度早々に,調査を実施する予定である。
|