糖尿病患者の腎症の発症・進展予防には,血糖や血圧の適正な管理が重要で,早期からの食事管理が必要だが,エネルギー摂取制限が優先され,塩分摂取量については徹底されていない。そこで,糖尿病患者の塩分摂取を中心として栄養摂取を調査し,糖尿病性腎症を予防する為の患者が実践し易い食事指導について検討する。 外来通院中の2型糖尿病患者を対象とした。調査内容は,食事記録(4日間),食習慣,食事で困っていること(自記式質問紙),血液生化学的データである。食事記録は次回外来受診時までに記載し,持参してもらった。 顕性腎症後期以降の者を除いたものを分析対象とした。男性15名,女性9名で,年齢は66.4±9.2歳, 64.6±7.5歳,糖尿病歴は13.8年,16.4年で,HbA1c値(NGSP)は7.0%,7.2%で両群ともコントロールは不十分であった。1日の塩分摂取量は,両群とも9g以上と多く摂取していた。エネルギー摂取量は男性が多いが,PFC比には有意差は見られなかった。食習慣では,男女とも,PFCのバランスを考える,一食に偏らないようにするなどは実施しているが,食材や調味料の計測はほとんどしていない。塩分量の目算は2-3日に一度は実施していると回答しているものが多かったが,実際の摂取量は多く,困っていることとしても挙げられていなかったことから,塩分摂取制限についての意識づけ,減塩指導が必要であるといえる。塩分摂取量と食事との関係では,食物繊維,種実類,その他の野菜の摂取に正の相関がみられた。野菜の摂取は多い傾向にあり,野菜等の調理時に塩分制限が必要であることも考えられる。
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