研究概要 |
生体肝移植ドナーは周手術期において、ジェットコースターに乗っていると表現されるほど、想像をはるかに超えた体験をする。そのため術後の不穏や精神症状の発症率も高く、精神的問題への介入の必要性が重要視されている。本研究では、精神症状発症予防のため、また、周手術期の自尊感情の安定を目指した、看護モデルの構築を行うことである。 研究1年目である本年は、先行研究から得た知見から、尺度項目の精選を行った。当初の計画ではRosenberg(1965)の自尊感情尺度を使用する予定であったが、この尺度は、評価的なフィードバックを与えても得点が変化しないという報告もあり、他の尺度の検索も行った。Kernis,Grannemann,& Barclay(1989)は、自尊感情を短期間で変動するものとして捉え、個人内の自尊感情の安定性を述べている。本研究と同様に、彼らも同一対象者に対して複数回の自尊感情尺度による測定を実施しているが、今回は期間が周手術期と限定した短期間であるため、実際に周手術期の生体肝移植ドナーへの参加観察を行い、それをもとに、尺度項目の測定実現可能性を考慮し、質問紙とまた具体的計画を再作成した。 生体肝移植のドナーは手術侵襲も大きく、その周手術期に質問紙調査等を行うには、十分な倫理的配慮が必要である。今後さらなる検討を加え、倫理委員会に申請・データ収集をする予定である。
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