生体肝移植ドナーの受ける手術は侵襲が大きく、術後は身体的合併症のみならず、抑うつといった精神症状を発症する場合もある。そこで本研究は、周手術期のドナーの体験と自尊感情の変化を明らかにし、術後の精神症状発症予防を目的とした、看護支援を検討することを目的に行った。 生体肝移植ドナーは、元来健常者であり、彼らにとって肝切除手術は想像を絶する体験であった。また術前高かった自尊感情は、術後では低下を示した。質的データの分析の結果、レシピエントを助ける意識が強いほど、術後は自分のことで精一杯となるギャップが自尊感情の低下に影響していることが示唆された。
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