従来の保健看護分野のQOL研究は患者に焦点化され、地域・在宅での慢性疾患及び終末期ケアの重要な担い手で家族介護者のQOLに関する研究は不足している。本調査は超高齢・在宅死の時代を迎える本邦の地域文化コンテクスト中で捉えられる13例のがん患者家族の介護者としての日常生活、経験、思い等QOL構成要素を質的に探求し、同時にQOLLTI-Fの日本語版作成と使用可能性試験及びSOC尺度(ストレス対処能力測定尺度)との相関試験を目的として156人に質問票調査を実施した。対象の特徴として18のカテゴリーと102のサブ・カテゴリーが抽出され、QOLLTI-F とSOCの相関関係(p<0.01)が示された。QOLLTI-Fは内容的妥当性、表面的妥当性、先行類似尺度との比較において潜在的に活用可能性のある尺度であるが、今回の本対象での因子分析による妥当性は必ずしも十分とはいえず、今後の継続試験及び日本の文化的特異性を示す質的分析結果の応用が必要である
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