研究の目的は、終末期ケアを担う看護師が経験している学びややりがい等のプラスの側面の実態を数量的に明らかにすることである。本年度は、まずプレテスト項目を回答率と因子分析(主因子法、プロマックス回転)により検討、修正し、あてはまる(5点)~あてはまらない(1点)の5択の終末期看護のやりがい感尺度(α=.81~93)を作成した。第1因子は『患者家族を含めたチームの一体感』11項目、第2因子『自分の存在価値を実感する』8項目、第3因子『死生観や人生観を学ぶ』7項目、第4因子『あきらめずにかかわった成果を感じる』5項目、第5因子『終末期看護の奥深さを感じる』7項目である。 対象は全国の都道府県がん診療連携拠点病院リストから170施設に協力依頼し、同意が得られた66施設の臨床経験2年目以上の看護師2142名に配布、個封郵送で回収した1460(回収率68.1%)のうちの有効回答1432名である。 結果は、終末期看護のやりがい感尺度の項目の平均値が高い(よりあてはまる順)に並べると、第2因子の『自分の存在価値を実感する』と第4因子の『あきらめずにかかわった成果を感じる』の項目が上位に並び、第1因子『患者家族を含めたチームの一体感』と第5因子『終末期看護の奥深さを感じる』の項目が下位に並ぶ傾向があった。 関連因子では、経験年数で『終末期看護の奥深さを感じる』項目で10年以上の者が5年から10年未満の者より有意に高く、2年から5年未満の者は『自分の存在価値を実感する』因子で5年~10年未満、20年以上の者より高かった。認定・専門看護師資格保有者112名(7.7%)は『死生観や人生観を学ぶ』と『終末期看護の奥深さを感じる』が他の看護師より有意に高く、緩和ケアチーム活動経験者166名(11.4%)は『患者家族を含めたチームの一体感』と『終末期看護の奥深さを感じる』が有意に高かった。
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