慢性心不全患者の活動と休息のバランスアセスメントシート作成のための枠組みを検討した。外来通院中の慢性心不全患者(stageB~C)に同意を得て、2回のインタビューと活動量測定及び活動ノートの記載を依頼した。分析対象は6名であった。心機能等の人口統計学的情報を参照しながら、インタビュー結果の内容分析を行い活動の調整方法と調整に影響している事柄について抽出した。【結果】慢性心不全患者が行っている活動の調整には4つの意味が含まれていた。『動ける身体であることを確認する』ための調整として≪意識的に負荷をかける≫≪休みながらでもやり終える≫調整を行っていた。心不全症状や低下している心機能を理解した上で、あえて強い負荷をかけたり労作を継続し、それでもまだ動く身体や回復する身体という正常さを確認するために行っている調整であった。『役割を果たすための取捨選択』は≪やめてしまう≫≪活動範囲を狭める≫≪つじつまを合わせる≫であった。地域社会や家族の中での役割を果たすなど、自らの存在価値を保ち続けるために行っている調整であった。『調子を整え良い体調を導き出す』調整として≪指導を遵守し体調を整える≫≪調子のよいパターンを崩さない≫≪心臓を動かしてやる≫ことをしていた。生活上の不便を感じても服薬や入浴など指導内容や、自分が調子が良いと感じる生活パターンを守ることで、必要な生活上の活動が継続できるように体調を整えていた。『失った自信を取り戻す』ための調整には≪時間をかけて無理をしない≫≪試しながらやってみる≫≪あきらめずに繰り返す≫があった。【考察・結論】心不全患者が生活を送る中で活動と休息のバランスを取るためには、負荷の回避やリハビリテーションの視点だけではなく、これら4つの意味を踏まえることが必要である。しかしアセスメントのためには具体的な調整方法が不十分であり、更に例数を増やす必要がある。
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