本年度の研究目的は、クリティカルケア看護領域において、心理的危機にある患者や家族に看護師が行う看護介入の実態を明らかにすることとした。そこで、研究デザインとして質的記述研究デザインを用い、救命救急センターまたは集中治療部に勤務している看護師を対象として、質問紙調査(質的研究)を行い、補足的に半構成的面接調査(質的研究)を行うことを計画した。しかし、研究の進行過程でデータ収集方法に問題が生じたため、研究計画および内容の見直しを行い、質問紙調査を量的記述研究デザインに修正した。そのため、当初の研究計画からは大幅に遅れたが、A県内の第三次救急医療機関4施設における救命救急センターまたは集中治療部に勤務している看護師230名を対象に、無記名による自記式質問紙調査を行った。質問紙の内容は、基本的属性、危機介入の学習経験、危機介入の基本的アプローチ内容とし、5段階評価で回答を求めた。配布数は230部、回収数206部(回収率:89.6%)、有効回答数198部(有効回答率:96.1%)であった。得られたデータについては、現在も分析中である。さらに半構成的面接調査を行い、心理的危機にある患者や家族に具体的にどのような看護介入を行っているかを補足し、その実態を明らかにする予定である。今後は、シミュレーション教育プログラムの開発を目的としているため、問題の定義の段階として重要なニーズ・アセスメントに加え、本研究における学習者分析のための実態調査結果から、心理的危機にある患者や家族に対する看護介入の要素を抽出する。
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