本研究では告知を受けたがん患者のストレス対処における自己効力に着目し、自己効力を高める援助プログラムを作成してその有用性を検討するために、まず、その評価指標となるがん告知後という特異的な場面でのストレス対処行動における自己効力の測定尺度の開発と信頼性・妥当性の検証を行うことを目的としている。平成22年度は、研究者が行った先行研究『告知直後のがん患者のストレス対処における自己効力とその影響要因』によって明らかとなった、「告知直後のがん患者のストレス対処における自己効力」を基に、質問項目を作成した。そして、国内外の既存研究から関連する尺度や類似尺度の項目を参照しつつ、質問項目を修正・追加し、尺度の基礎となる調査項目の精選を行った。その後、専門家より調査項目についてアドバイスを受け、修正を行った。現在はこの調査項目を検討するための予備調査に向けて準備中である。予備調査は、外来に通院または入院中で、病名と治療方針について医師から説明を受けたがん患者20名(選定条件は、告知後2ヶ月を経過し、告知時に異常な混乱をきたしておらず、調査に耐えうると担当医師・看護師が判断した者とし、終末期患者や心身の苦痛の強いものは除く)を対象とした自記式質問紙を用いて行う予定である。今後、この予備調査結果を分析し、専門家よりアドバイスを受け修正し、尺度項目を決定する。そして、開発した尺度の信頼性と妥当性について調査を行う予定である。
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