本研究は、一般病棟における終末期がん患者と家族を支援するための「看取りケア」の質向上を目的に、一般病棟の看護チームを対象とした教育プログラムを構築し、教育評価を行うことを目的とした。先行研究から明らかとなった看取りケアの実践に関連する要因を基にプログラムを作成し、家族アセスメント、症状コントロールに関する内容を理論やモデルと関連付けながら看護チームを基盤に学習する方法とした。 研究デザインは対照群を設定しない前後比較介入研究とし、22名の一般病棟の看護師を分析対象とした。評価時期は、介入前、直後、2ヶ月後とした。評価指標の分析の結果、主要アウトカムである看取りケア実践能力の向上が認められ、看取りケアに対する自信、態度、知識にも肯定的な変化が認められた。プログラムの有用性についても参加者から高い評価が得られ、看取りケア実践教育プログラムは、実践能力の向上に寄与するプログラムであることが示唆された。 プログラムの内容、展開方法、評価方法は実施要領にまとめ、各評価指標の適切性および信頼性と妥当性についても最終検討した。 看取りケア実践プログラムは専門看護師や認定看護師と協働し、院内教育として導入することが最終目標であるため、フィールドの確保も含め今後も継続して取り組んでいく。 また、患者の終末期において在宅療養への移行が大きな課題となっている現状を踏まえ、在宅療養移行における一般病棟看護師の意思決定支援も視野にいれ、研究を発展させていくことが今後の課題である。
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