昨年度、脳卒中トリアージナースについて、全国調査により実態を実施した。今年度は、昨年度の調査において既に脳卒中トリアージナースが有効に機能していると考えられた国内の先駆的病院において、トリアージナースに必要な能力、役割や機能、それに問題点等を具体的に明らかにすることを目的とした。 方法は、全国4病院のトリアージナース合計13名へのインタビューと、脳卒中トリアージ場面の参加観察を実施し、質的帰納的に分析した。なお、日本赤十字広島看護大学研究倫理委員会の承認を得た。 結果、トリアージナースに必要な能力として、重症度・緊急度の判断などの他に、マネジメント能力や病院のシステムを熟知していることなどがあった。またトリアージナースの役割や機能についても、重症度・緊急度の判断などの他に、医療チームにおける効率的な連携の調整や患者、家族への説明と倫理的な配慮などがあった。つまり、トリアージナースに必要な能力や役割・機能には、ただ単に救急医療に対する知識だけでなく、看護師としてのケアリング能力が求められると考えられた。また、トリアージナースの問題点としては、トリアージを実施するスタッフの能力の違い、トリアージに人員を割かれることによる他業務への支障、トリアージナースの擁護、権限の付与が曖昧なこと、トリアージナースのストレスが大きいことなどがあげられた。つまり、トリアージナースのマニュアルや教育体制や、トリアージナースのフォローアップ体制について整備の必要であると考えられた。 平成24年度診療報酬改定において、院内トリアージ加算が新設された。次年度は、脳卒中トリアージナースを導入する病院において、実践者と共に脳卒中トリアージナースに関する様々な問題状況に介入しながら検討し、これまでの研究成果を基に脳卒中トリアージナースの導入及び普及に向けた基礎資料を作成する予定である。
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