わが国の脳卒中トリアージナースについて、平成22年度に全国規模の調査により導入の実態を把握した。平成23年度には、既に脳卒中トリアージナースが有効に機能している国内の先駆的病院において、その専門性、必要な能力、役割や機能、それに問題点等を調査してきた。平成24年度診療報酬改定において、「院内トリアージ実施料」として算定が可能となったため、その影響とそれらの結果を基に、脳卒中トリアージナース未導入の脳卒中超急性期治療実績のある病院に全国規模のわが国の脳卒中超急性期治療実績があると考えられる病院、計1155施設を対象にアンケート調査し、「院内トリアージ実施料」新設後に、新たにトリアージナース導入した施設(新規導入群)と、それ以前からトリアージナースを導入している施設(既存群)を比較し、脳卒中トリアージ体制の特徴を明らかにすることを目的とした。調査期間:2012年9月1~30日。 有効回答294通(25.5%)。脳卒中患者のトリアージを実施(職種を問わず)しているのは207施設(70.4%)で、看護師によるトリアージを実施しているのは194施設(66.0%)であった。院内トリアージ実施料の算定を行っている施設は、133施設(45.2%)であった。 既存群は、新規導入群よりも、特定入院料の加算、専任の救急対応の人員体制、診療体制、専門職看護師の配置などにおいて有意に多かった。つまり、脳卒中トリアージ体制が充実していると考える。そのため、新規導入群は、設備や人員体制など、十分なトリアージ体制がとれないまま、トリアージナースを導入いている可能性もある。救急外来において、アセスメントが不十分であれば、早期治療が遅れ、患者の予後を悪化させてしまう可能性もある。従って、トリアージに関するマニュアルや教育体制、それにトリアージナースのフォローアップ体制について整備していく必要があると考える。
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