【目的】1.全身エリテマトーデス(SLE)患者において、ストレス適応系としての神経・内分泌・免疫系の機能異常の有無について検討する。2.その機能異常のために、新たなストレスに対して不適応になりやすいのかについて検討する。 【方法】SLE患者30名及び健常者38名に対して、計算ストレス負荷前後における血清中の種々の神経・内分泌・免疫系活性物質を測定し、ストレス関連QOLの調査を行った。 【結果】1.SLE患者では、すでに計算負荷前の状態においてコルチゾール(ステロイド投与との関連なし)、ノルアドレナリン値が有意に高値を示した。また、質問紙調査では、SLE患者は身体面・精神面での健康度が低く、日常の自覚ストレスの程度は健常人と比較し高値であった。しかし、ストレス対処能力は健常人とほぼ同じレベルであった。2.SLE群と健常群間でのもっとも大きな違いは、計算ストレス負荷後に健常群では、血清コルチゾール値やβ-エンドルフィン値が増加しているのに対して、患者群ではこれらのホルモン濃度が上昇しなかった。 【結語】患者群では副腎皮質の活性化と交感神経系の緊張がみられ、さらに新たなストレスに対して副腎皮質の反応性が低下されていることが示唆された。全体としてストレス適応系(HPA-axisを含む神経・内分泌・免疫系)の機能に歪みが生じている可能性が考えられる。
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