【目的】全身性エリテマトーデス患者において、①ストレス適応系としての神経・内分泌・免疫系の機能異常の有無について検討する。②ストレスマネジメントを含む慢性疾患セルフマネジメントプログラム介入を行い、その効果について検討する。 【方法】患者合計8名に対して、介入前後における血清中の種々の神経・内分泌・免疫系活性物質を測定し、ストレス関連の調査を行った。 【結果】介入前に比較して介入後の患者では、疼痛緩和効果を持つ神経系活性物質であるβ-エンドルフィンは有意に高値を示し、Cortisolは有意に低値を示した。また、有意差は認められなかったが、炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-αの低下傾向が認められた。またQOL指標(SF-8)のうち身体的健康度や病気とうまく付き合うことができるという自信(自己効力感)は有意に高値を示した。つまり、介入前と比較すると介入後の方が、身体的な健康はよくなっていると感じており、病気とうまく付き合うことができるという自信が高くなっていた。また、有意差は認められなかったが、QOL指標(SF-8)のうち精神的健康度の上昇傾向や自覚ストレスの程度と痛みの程度について低下傾向が認められた。 【結語】先行研究と同じように介入後において身体的健康度の上昇や自分の病気とうまく付き合っていくことができるという自信の向上につながったと考えられる。また、有意差は認められなかったが、精神的健康度の上昇傾向、自覚ストレスの程度や痛みの程度の低下傾向が認められた。さらに、介入前に比較して介入後では、疼痛緩和効果を持つβ-エンドルフィンは有意に上昇し、Cortisolは有意に低下した。このことはセルフマネジメントプログラムがHPA-Axisの機能回復に何らかの役割を果たすかもしれない可能性を示唆しており、新しい知見として意義をもつものと思われる。
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