小児期疾患の救命率の向上に伴い、その治療期間は長期化する傾向がある。そこで長期間治療を受ける小児を慢性疾患患児としてとらえ、子どもの心身両面への看護を行うだけではなく、日常的にケアを行う家族に対しても各時期に応じた心理面の支援が必要であると考える。このことから慢性疾患患児を育てる親の心理的ストレスおよびコーピングの状態を縦断的に調査することを目的として本研究を行っている。 平成23年度は、研究実施計画に記載のうち質問紙の作成を行った。これは前年度に行った概念分析および概念枠組みの作成に基づいたものであり、内容には属性の他、精神的健康度、コーピング、レジリエンスが含まれている。作成に当たっては、数名の専門家からアドバイスを得て作成し、妥当性の確保に努めた。 また、対象者についての検討を行った。具体的には以前に研究者が行った慢性疾患患児の両親のストレス反応に関する研究結果を用い、夫婦ペアでの検定を実施することにより父親と母親との違いという観点から検討した。その結果、父親と母親では同じ子育て環境であってもコーピングに違いがあることが明らかになり、従来言われているようにストレス・コーピングには性差があることが示唆された。これらの分析結果より、対象者については性別を限定することとし、子育てにおいて中心的役割を担うことが多い母親を対象に調査を行うこととした。なおこの結果は、10^<th> International Family Nursing Conference(Kyoto)にて発表している。また、慢性疾患患児の比較対照群として、健康な乳幼児および学童期、思春期の子どもの母親からのデータ収集方法について検討した。 これらの研究方法の詳細を決定後、研究期間の倫理審査委員会に対して研究実施の申請を行い、承認を得たところである。
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