児童相談所における児童虐待対応件数は、年々増加の一途を辿っており、虐待死亡事例に至っては、1週間に1件の割合で発生している。児童虐待は解決すべき社会問題の最重要項目である。厚生労働省は、妊娠期からの「虐待予防」の重要性の再認識を課題としてあげており、発生防止よりも「発生予防」を強化する体制に移行している。その中で、医療機関は妊娠期からの問題を早期に把握できる機関の一つであり、虐待の1次予防から3次予防までを展開しやすい。これらのことを踏まえ、本研究の目的は、医療機関における妊娠期・胎児期からの虐待予防を目的としたスクリーニングの開発である。 平成22年度の目的に沿って、妊娠期からの子どもへの愛着および母親のメンタルヘルスのスクリーニングを行うために・東京大学医学部附属病院女性診療科・産科外来で質問紙調査を行った。研究期間は平成22年4月から平成23年3月までであり、対象者数は合計で215例であった。妊娠期用に改編した3つの質問紙をセットにし質問紙調査を行い(妊娠20週~36週)、縦断的に(産褥1か月健診時)に同内容の質問紙調査を行った。 215例の対象者数で有効回答数は、妊娠期184例(85.6%)、産褥期161例(74.9%)であった。今後は、得られたデータから解析計画に沿って解析する予定である。
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