日本古来より行われてきた添い寝や添え乳は、母乳育児の促進や親と子のきずなを形成するために推奨されてきた。一方で、これらが睡眠中における窒息死の危険因子の一つとしても挙げられている。添い寝及び添え乳の賛否は様々な側面から検討されているが、統一した見解は得られておらず、その実態及び問題点は明確になっていない。本研究では、添い寝及び添え乳をはじめとした育児の実態およびその問題点について明らかにすることを目的とした。 研究デザインは自記式質問紙(無記名、10分程度で回答)を用いた横断調査研究であり、1か月児を持つ母親の場合は、A市内の大学病院及び産婦人科を有する病院、計2ヶ所において出産後1か月健診に訪れた母親に対して、文書及び口頭にて説明後、質問紙を配布し回答を依頼し、回収は郵送にて行った。また、4か月児及び10か月児を持つ母親の場合は、A市が健診対象者に送付する健診案内に研究の依頼文、質問紙を同封し配布した。回収は、回答した後、乳児健診時に持参し専用の回収箱に入れてもらうこととした。質問項目は、母親及びその子どもの月齢、分娩様式、子どもの栄養方法等の基礎情報、添い寝及び添え乳の認知度、実施状況(開始時期、頻度、主な時間帯)、誰に方法を教わったのか及び鼻腔圧迫や窒息の危険等のヒヤリハット経験の有無、児の窒息予防に対する日常生活上の工夫等である。本研究は信州大学医学部医倫理委員会の承認を得て実施した。その結果、1か月児を持つ母親に対しては、150名程度からの回収ができており、現在においても配布・回収を続けている。4か月児及び10か月児を持つ母親に対しては、各期300名程度からの回収ができており、現在データ入力及び分析を進めている。今後、実態や問題点についてまとめを行っていく。 また、生理的指標を用いた観察研究については、自律神経機能、酸素飽和度等を測定するため、機器の準備やプレテストをおこなっており、今後添い寝及び添え乳の場面の観察研究を行う予定である。
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