前年度までに行った調査研究では、添い寝及び添え乳を行っていると答えた母親の約7割が出産後入院中から開始していることが明らかとなった。新生児期は、呼吸循環動態が未熟であること、また、分娩時の影響を受けている時期であると予想されることから、この時期から添い寝及び添え乳を開始することが新生児の生理学的指標にどのように影響を与えるのかを検討する必要が生じた。 本年度は、正期産で出生した10例の児に対して、新生児期における呼吸循環動態並びに自律神経機能の変化について検討した。具体的には、同一被験者に対して、日齢1及び日齢7~14の2回、13時~17時の時間の約3時間について連続測定した。呼吸循環動態を評価する指標である呼吸状態、経皮動脈血酸素飽和度、心拍数の観察には、小児用スリープレコーダGD-103(株式会社デンソー、パルスオキシメーター付属)を使用した。自律神経機能についてはアクティブトレーサーAC301-A(GMS社製)を用いて心拍変動を測定した。さらに呼吸・循環動態ならびに自律神経機能に影響を及ぼすと考えられる体温測定(サーモフォーカス)に加え、児の睡眠・覚醒状態についてアクティウォッチ2(フィリップス・レスピロニクス社)を足首に装着し測定した。また、同時にBrazeltonによるstateの分類に基づき行動評価をするため、ビデオ撮影を実施した。その結果、日齢1及び日齢7~14の両時期において、経皮動脈血酸素飽和度が正常である95%から逸脱する時間があることが明らかとなった。データ測定期間中の心拍数、体温等は正常に経過していた。今後、睡眠・覚醒との関連、分娩時の情報との関連についてさらに検討していく必要がある。また、自律神経機能については、新生児を対象とした先行研究が少ないことからデータ分析に時間を要しているため、分析を続けていく。
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