本研究の目的は、産後女性への骨盤底筋訓練を支援するツールとして携帯電話双方向通信を用いることで骨盤底筋訓練のコンプライアンスを向上させ、尿失禁を改善、予防することである。本年度は、大阪大学医学系研究科保健学専攻の倫理審査の承認を受けた後、産科診療所1か所を研究実施施設として予備調査を開始した。研究実施施設の研究協力者との数回の打合せにより研究プロトコールの微調整をしながら対象者への研究説明文書、同意書、携帯電話双方向通信システム登録方法マニュアル、IDカード、FUISQ(尿失禁種類と重症度判定問診票)を盛り込んだ調査票、返信用封筒を完成させた。同時に骨盤底筋訓練支援研究の携帯電話双方向通信システムを株式会社アールタイムとともに立ち上げ、システムの構築を重点的におこなっている。また、日本助産学会へ参加し、研究に関する情報収集もおこなった。予備調査の具体的内容は、研究実施施設で1週間に1度開催される集団指導後に、研究代表者が対象者のリクルートをおこない、携帯電話双方向通信システムへの登録作業を進めることと、研究実施施設で分娩した全褥婦へ研究協力者が調査票を配布し、回収することである。次年度は、さらなる症例数を増やし、予備調査の集計結果を報告する予定である。この研究の意義と重要性は、従来おこなわれてきた産後の保健指導の方法に携帯電話双方向通信を活用することによって、指導内容のコンプライアンス向上、尿失禁の有病率の低下、尿失禁で悩む産後女性のQOLの向上が期待できることである。
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