研究概要 |
特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族の家族機能のありようを明らかにし,家族支援構築への示唆を得ることを本研究の目的とした.特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族に協力を依頼し,父親もしくは母親を対象とした。2010年8月から10月の期間に,半構成面接とFFFS日本語版Iを用いた質問紙調査を実施した.参加者の承諾を得て面接内容を録音し,逐語録を作成してデータとした.データの分析は,4名の研究者でKJ法を参考に分析を進め,カテゴリー化を行った. 参加者は母親5名であった.分析の結果,家族機能遂行のありようとして33カテゴリーが抽出された. 特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族は,子どもが障害をもつことによる特有の心配ごとを抱えながらも,子どもを育てることに自己の責任と存在意義を見出していた.家族員それぞれの健康に配慮し,障害をもつ子ども中心の生活を送りながらも,家族員が互いに想いやり協力しながら生活していた.身内から実際的・精神的な支援を得ているが,子どもの障害に対応できない身内との関係は希薄であり,特別支援学校に通う子どもをもつ母親(peer)が支えとなっていた.特別児童扶養手当などの行政からの手当てや子どもが特別支援学校に通っている時間,ヘルパーなどの社会資源を有効に活用し,家族機能を遂行していることが明らかになった. 特別支援学校に通う子どもをもつひとり親家族の家族機能のありようを明らかにした研究論文が未だないため,これらの結果はこのような家族への支援について検討する上で重要である.平成23年度は対象を拡大し,質問紙調査の結果を統計学的に分析し,質的分析結果と統合する予定である.また,具体的な支援策を導き,日本家族看護学会第18回学術集会で調査結果を公表し,家族看護実践において活用することで,このような家族の家族機能向上,生活の質の向上に寄与していく.
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